医療とテクノロジーの進化が加速する現代、電子処方箋の導入が進んでいます。紙の処方箋に代わり、スマートフォンやパソコンで受け取れる電子処方箋は、利便性や効率性の向上、患者様と医療機関や薬局の負担軽減を目的としています。そんな電子処方箋ですが、使用したことがない方もまだまだ多いのではないでしょうか。そこで今回は、電子処方箋を受け取るために必要なものと、その利用の流れについて解説します。
電子処方箋とは?
電子処方箋とは、医師が処方した薬の情報をデジタルで管理し、医療機関から薬局に安全に送信するシステムです。これにより、患者様は直接紙の処方箋を受け取る必要がなく、薬局でスムーズに処方薬を受け取ることができます。詳細はこちら
電子処方箋を受け取るために必要なもの
電子処方箋をスムーズに受け取るには、以下の準備が必要です。
1.マイナンバーカード
電子処方箋の利用には、患者様の本人確認のために「マイナンバーカード」があるとスムーズです(健康保険証でも可※1)。
2.マイナポータルアプリのインストール
マイナンバーカードと連携して処方箋情報を受け取るために、「マイナポータル」アプリが必要です。このアプリは、スマートフォンでマイナンバーカードと連携し、医療機関や薬局からの情報を受け取る役割を果たします。
3.スマートフォンまたはパソコン
電子処方箋はインターネット上で管理されるため、スマートフォンやパソコンなど、アプリやウェブサイトを利用できる環境が必要です。インターネット接続も準備しておきましょう。
4.暗証番号
電子処方箋の受け取りや管理には、マイナンバーカードの4桁の暗証番号が必要になります(※健康保険証の場合は不要)。事前に設定しておき、忘れずに管理することが重要です。
※1:マイナンバーカードをお持ちでない場合は、健康保険証と医療機関より発行される「引換番号」を薬局で提示することで、電子処方箋を利用することが可能です。しかし、健康保険証の場合は、医師や薬剤師が服用中・過去に服用していた薬の情報、特定健診の結果をデータで確認することができません。また、今回処方する薬が服用中の薬と重複投薬・併用禁忌に該当する可能性があるかのチェックを行うことはできますが、どの薬と懸念があるのかまで確認することはできません。(令和5年9月現在)
引用元:厚生労働省Webサイト
電子処方箋利用の流れ
では、電子処方箋の具体的な利用の流れを解説します。(※マイナンバーカード利用の場合)
1.医療機関での診察
対面またはオンラインで医師の診察を受けます。診察後、薬が必要となる場合に、電子処方箋を希望する旨を伝えます。
2.電子処方箋の発行
医師に薬を受け取りたい薬局名を伝え、その薬局が電子処方箋に対応しているか確認します。対応している場合は、医師が「電子処方箋管理サービス」というシステムに処方箋のデータを登録します。データ登録後、専用の「引換番号」が発行され、医師から患者様へその旨が伝えられます。以降、医療機関にて発行される処方内容(控え)とマイナポータルアプリより「引換番号」の確認が可能です。また、マイナポータルアプリでは、自身の処方箋内容も併せて確認できるようになります。アプリの操作は簡単で、画面に表示される指示に従うだけで処方箋の内容が閲覧可能です。
3.薬の受け取り
薬局に到着した際に、医療機関で発行された「引換番号」とマイナンバーカードを提示し、薬剤師による確認を受けます。その後薬局のスタッフが「引換番号」より「電子処方箋管理サービス」にアクセスし、患者様の電子処方箋のデータを取得します。過去に処方された薬の情報や、併用薬の確認などを経て、電子処方箋の内容に基づいて薬の用意がされた後に薬を受け取ります。受け取り時には、薬剤師が服用方法や副作用のリスクについて説明を行います。電子処方箋の場合でも、このフォローアップは従来通り行われますので、安心して薬を使用できます。
4.処方箋情報の確認と保存
受け取った薬の情報や次回の服用予定、再診が必要なタイミングなどを確認できます。必要に応じて、自身の健康記録として保存し、次回の診察時に役立てることも可能です。
まとめ
電子処方箋の利用は、医療のデジタル化を進め、患者様や医療従事者にとって大きな利便性を提供します。スマートフォンやマイナポータルアプリを通じて、簡単かつ安全に処方箋情報が管理され、薬の受け取りがよりスムーズになるでしょう。事前準備を整え、正しい流れで利用することで、より快適な医療体験を実現できるはずです。