じめじめと湿気が多くなる梅雨の時期は、食中毒が特に発生しやすい季節です。気温や湿度が高くなることで、食中毒の原因となる細菌が増殖しやすくなるため、普段以上の衛生管理が求められます。今回は、梅雨時期に気を付けたい食中毒の原因や、予防の基本ポイントをご紹介します。
食中毒の主な原因
食中毒の原因は、大きく「細菌」「ウイルス」「自然毒」「化学物質」などに分けられますが、梅雨時期に特に注意が必要なのは細菌性の食中毒です。代表的なものとして、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌(O157など)、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌などが挙げられます。これらの細菌は食品内で増殖し、人が食べることで感染・発症します。
細菌が増えやすい温度
一般的な食中毒を引き起こす細菌は25~40℃の温度帯で増えやすく、特に35℃~40℃の環境下では急速に繁殖します。また、細菌の多くは湿気を好むため、梅雨の高温多湿な環境は、細菌にとって絶好の増殖条件といえます。
食中毒を防ぐ3原則
食中毒予防には「つけない・増やさない・やっつける」の3原則が基本です。
つけない(洗う!分ける!)
食材や調理器具に細菌をつけないことが基本です。調理前や食材に触る前には、石けんと流水でしっかり手を洗うことが大切です。さらに、生肉・魚介類・卵などを扱った包丁やまな板は、他の食材用と分けるか、使用後すぐに洗浄・消毒を行いましょう。また、調理台やふきん、スポンジもこまめに清潔に保つことが食中毒防止につながります。
増やさない(低温で保存する!)
多くの細菌は、高温多湿の環境で増殖しますが、温度が10℃以下になると増殖のスピードが遅くなり、マイナス15℃以下では増殖がほぼ止まります。そのため、食品に付着した細菌の増殖を防ぐには、低温での保存が効果的です。肉や魚などの生鮮食品や調理済みの食品は、なるべく早く冷蔵庫に保存することを心がけましょう。ただし、冷蔵庫の中でも細菌は完全に死滅するわけではなく、少しずつ増え続ける可能性があるため、保存に頼りすぎず早めに食べきることも大切です。
やっつける(加熱処理!)
多くの細菌やウイルスは加熱することで死滅するため、肉や魚はもちろん、野菜も加熱調理することで安全に食べることができます。特に肉料理を調理する際は、中心部までしっかり火を通すことが重要です。目安としては、食品の中心温度が75℃以上で1分以上加熱することが推奨されています。また、ふきん・まな板・包丁などの調理器具には、食材から細菌やウイルスが付着しやすいので注意が必要です。特に生の肉や魚、卵を扱った後は、洗剤で丁寧に洗浄したうえで、熱湯をかけて殺菌するのがおすすめです。さらに、台所用の除菌スプレーなどの活用も効果的な対策となります。
参考:政府広報オンライン
まとめ
梅雨時期は、食中毒のリスクが高まる季節です。基本の3原則「つけない・増やさない・やっつける」を実践し、調理や保存の際には十分な注意を払いましょう。家庭はもちろん、企業や施設の給食、社員食堂、保育園や高齢者施設の食事提供現場でも、衛生管理の徹底が重要です。正しい知識と対策で、安心・安全な食環境を守りましょう。